アートブログを始めました

英語と日本語の両方で書いています。

mikariedel.wordpress.com


Florian Roithmayr

ちょっと気を抜くとすぐ数年の間ブログを放置してしまいます(笑)

この間セラミックはお休みして、絵本を作っていました。

https://mikariedel.github.io/

さて、ロンドンに住み始めてからアメリカではあまりできなかった美術館やギャラリー巡りをよくしています。先月はCamden Art Centreで開催されていたFlorian Roithmayrという作家さんのwith, and, or, withoutという作品に感銘を受けました。1976年ドイツに生まれたこの作家さんは舞台美術の訓練を受けた後、Slade School of Fine Artで美術を勉強したそうです。そして2005年にGoldsmiths Collegeの美術修士課程を修了し、現在はロンドンに在住、活動していらっしゃいます。

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小さな鍾乳洞を見ているようで、あまりにも綺麗なので長い間作品の前から動けませんでした。そしてこれ、どうやって作ったんだろうという疑問が湧いたのですが、それに関してウェブサイトに載せられているこのビデオの中で作家さんが話されていました。「箱の中に半分までコンクリートを流し込んで、その中にノズルから膨張性のある泡を流し込みます。泡が生む勢いとガスによってノズルが踊るように暴れまわります。これは例えば庭にホースで水を撒く時に、水の勢いを強くしすぎてホースが暴れまわってしまう、みたいなことです。もう勝手にホースが動いてしまう、あちこち飛び回ってしまう。この段階で何が起こっているかというと、二つの成分(ここではコンクリートと泡)が互いにぶつかり合っているということです。コンクリートは落ち着きたいのに、泡によって無理やり押される。二つの相反する力が互いに働きあって、やがて調和点にたどり着く。

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その後Camden Arts Centreのチームによって、この泡の部分が削り出されたそうです。それも歯医者さんが使うあのカリカリする先の細い道具で固まった泡を掻き出したみたいです。そしてその過程が何が起こるか分からないのでハラハラするそう。泡の形によってはコンクリートが一つのまとまった形を保てなくて崩れてしまうから、怖いだろうと思います。

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この作り方を説明してくれた後に彼が言っていることがとても興味深いです。「自分で作品を作り始めるんだけど、その過程の中でほとんど自分が無用になっていく。」ホースが勝手に動いて泡を撒き散らしている過程は、泡の助けなしに自分の手で直にコンクリートを削っていくやりかたに比べればより作品に対する作家の直接的な支配力は弱い。紙にぶちまけられた絵の具を想像してその絵を描くのと、実際にぶちまけるのでは自分の作品に対する関わりかたや距離感がだいぶ違う、そういった感じでしょうか。

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さらにビデオの中で語られます。「自分は可能性や変化や構成要素を用意して、その後は違う誰かに作品が委ねられる。作品をどう終わらせるのか、その認識も自分以外に明け渡すような感じ。」これはこの展示会でスタッフの方が毎日インスタレーションを変えていることも大きく含んでいると思われます。

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さらに続いて、「ものの特性と動作にとても興味があります」とのこと。コンクリートに泡を注ぎ込むという手法を選んだのはここに起因しているのでしょうか。「作品はわたしがそれをどう思うかとう部分から独立しているし、わたしが象徴しようとするところからも離れています。使っている素材の特質と働きかたはずっと変わっていないんだから、それは比喩にもなりません。作品は自分からも見ている人からも離れたところにあって、わたしがどんな価値をそこに載せようと関係ありません。作品自体が勝手にその部分を満たします。わたしたちに今作品がどんなことを意味するか、または10年後にどんなことを意味しているかなどは重要ではありません。そういったことは変わりうるから。でもものの性質は変わりません。動作は変わりません。この独立した部分に魅力を感じます。自分があまり含まれていない、自分があまり関係がなくなっている。素材はわたしがいてもいなくても反応する、とうところに。」とおっしゃっています。

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全ては物理法則に従って動いていてそれは変わることがないけど、わたしたちのものの見方や理解の仕方は変わる。小さい時に初めて死というコンセプトを知った時、すごく驚いたし恐怖を感じました。全てが昨日とは違って見えて、でも実際は何も変わっていない。変わったのはわたしの理解だけ。全ては通常通り動いている。そこに強い魅力を感じます。この、自分の理解の変化とそれでも何も変わっていない、でも全く違って見えるというギャップを楽しむ瞬間はいまだにあります。この瞬間はいつもとても楽しいし、次に来るのがすごく楽しみ。こういったことをこの作品を通して考えていたのか知りたくて、3月に同美術館で行われた彼のパフォーマンスを見に行き、作家さん本人に直接聞いてみたところ、「まさにそれが言いたかった」とのこと。こちらが感じたり考えたりすることと、作者の意図がそんなふうに合致することもあるんですね。

これがパフォーマンスの風景。どんどん霧が立ち込んで行って…

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最後には向こう側にいる人が見えないほどに。ほのかにいい香りがします。

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この美術館は水曜日と土曜日に、1日2回ずつ無料ギャラリートークを行っていて、そちらにも参加してきました。作家さんに会う前だったので、そこで作品のコンセプトについて質問をしたら、この作品を作るにあたって影響を受けたものとしてある本を教えられました。アウシュヴィッツ強制収容所からの生還者であるPrimo Leviという人の書いたThe Periodic Tableという1975年に出版された小説。ウィキペディアによると、2006年にはThe Royal Institution of Great Britain から今までで最高の科学書と称されているそうです。この本がCamden Arts Centreに置いてあったので少し読んでみたのですが、とてもすぐには読み終わらず古本を買ってしまいました。それぞれの章のタイトルにひとつずつの元素を用いていて、それに付随してお話が綴られています。ものの性質が変わらないことと、それに反して物語やわたしたちが刻々と変わることというところに繋がりがあると感じました。すごく難しい本ですが、辞書を引き引きゆっくり読んでいこうと思います。

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New work #4 -2013, 新作4

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This is the fourth one I made this year.

これは今年4番目に作ったものです。

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The small person on the ladder is climbing up to carve. (I stuck the person to the ladder with glaze so it doesn’t fall.) One is holding the ladder to make sure it doesn’t move, and two on the top are carving and sculpting together. Two in the front are talking and probably having fun, and the one behind them, I have no idea what he’s doing.

はしごの上にいる人は彫塑をするため上に登っているところです。(この人は釉薬ではしごとくっつけたので落ちません。)はしごが動かないように抑えている人が一人いて、上の方には二人で一緒に創作している人たちがいます。正面にいる二人は何やら話をして楽しんでいて、その後ろにいる一人は何をやっているのか分かりません。

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It seems they polish their work well so it glows.

彼らは自分たちの作品をよく磨いているようでピカピカになっています。

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There are two people behind the sculpture excitedly talking about something.

作品の後ろには話に盛り上がっている人が二人います。

It’s approximately 15 W x 15 D x 20 H cm: 5 w x5 D x7 H in. This one in also on my Etsy page.

大きさはだいたい 15 W x 15 D x 20 H cm: 5 w x5 D x7 H inです。これもわたしのEtsyのベージに載せています。

 


New work #3 -2013, 新作3

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This is the first one I made among this series. The concept is the same as the one I wrote about the previous piece, work #2, the small people are working together making and carving a sculpture. I enjoyed a lot imagining how they plan to build such a big (for them) art work and still have a lot of fun despite the hard work.

これはこのシリーズの中で一番最初に作ったものです。コンセプトは前回書いた新作2のものと同じで、小人たちが寄せ集まって一緒に造形作品を作っているというものです。大変な作業であるにも関わらず、彼らがどのように、楽しみながらこれだけ大きな(彼らにとってはかなり大きな)作品を作れるかと話し合っているのを想像するのはとても楽しかったです。

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I wouldn’t do this. I wouldn’t climb up that high and curve a woman out of a big chunk of rock. I have acrophobia.

わたしにはとてもじゃないけどできません。あんな高いところまで登って巨大な岩から女の人を掘り出すなんて怖すぎます。高所恐怖症だし。

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But they are different from me. They are more courageous. They are not afraid to go up extremely high and sculpt the art work that they believe is going to be beautiful.

でも彼らはわたしとは違います。彼らはもっと勇敢です。きっと美しくなると信じている作品のためならとんでもなく高いところで彫塑をするのも怖くありません。

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It’s approximately 15x20x30 cm:  5x7x17in. It’s on my Etsy page, too.

大きさはだいたい15x20x30 cmです。これもEtsyに載せています。

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New work #2 -2013

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Here is another sculpture I fired this year. The small people are working together making and carving out the big sculpture. (It’s quite big for them!) They use ladders to climb up and they gather and talk to discuss how they can have fun and make something beautiful.

これも今年焼いたものです。小人たちが一緒になって大きな造形作品を掘り出していく過程です。(彼らにとっては大きなサイズの作品!)はしごを使って登ったり、集まってどうやったら楽しみながら美しい作品を作れるか話し合ったりしています。

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The ladders and the small people are not attached to the sculpture. You can move them around. It’s approximately 25x30x50cm: 9x11x19in. This one is also on my Etsy page.

はしごや小人たちは本体にくっついていないので、あちこち動かすことができます。大きさはだいたい25x30x50cmです。これもEtsyのページに載ってます。


New work #1 -2013

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There are more than 20 ceramic sculptures that I had made but not uploaded to this website yet. Now I have uploaded the first one. I fired it this year at 1260℃ in an oxidation firing. It’s partly glazed with white shiny stoneware glaze. It’s hollow (of course!) and it’s approximately 25×30×30cm: 9x11x11in.

I’ve gotten this image in the end of my meditation, as always, and I’m happy with the face expression. She is having a good quality of meditation and she is enjoying her great state of mind. Now it’s available on my Etsy page!

https://www.etsy.com/listing/169159043/high-fired-ceramic-woman-sculpture-2?ref=pr_shop

今年に入って20以上の新しい造形作品を作りましたが、まだこのサイトにアップしていませんでした。そのうちの一つの作品をまず載せます。これは今年1260度で酸化焼成で焼いたものです。部分的に光沢のある白い高火度釉が掛けてあります。もちろん中は空洞で、大体の大きが25×30×30cmです。

この作品のイメージは、いつも通り瞑想の最後に浮かんできたものです。質のいい瞑想ができて、いい心の状態を楽しめている表情が作れたと思います。Etsyのサイトのわたしのページで売っています。


引越しました。

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また随分とブログを更新せずにいましたが、ロンドンへの引越しは無事に終わりました。10ヶ月前に…。造形をやるための工房も見つけ、通い始めてもう8ヶ月目になります。

今回の工房もとても素敵な人達が集まっています。セラミックだけでなく、ガラスアーティストやデザイナーの方々もいて、またコンテンポラリーアートを手がけている方たちもたくさんいらっしゃいます。

ロンドンは都会なだけあり、アメリカのころとは違って生活がとても忙しくなりました。うっかりすると呑まれそうになるのは東京と似ている気がします。

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昨日の素焼き直前の作品の一部。これだけ見てもわけがわかりませんね(笑)無事に焼けていますように!


More Glaze Test Pieces / 釉薬テストピース追加

This is the rest of the glaze test pieces I didn’t upload to the previous post of “glaze test pieces”. They are all fired in reduction too.

釉薬テストピースの追加分です。全て還元焼成です。


馬の毛と楽の作品写真

マサチューセッツもすっかり夏日和が続いています。緑が豊かでいつ見ても息を呑むほどに美しく、思わず立ち止まって見入ってしまいます。


こんな素敵な自然を見ていると、そこに自分の作品を置いてみたくなります。こちらがこの間焼いた楽焼の作品。

こちらは先日も書きました、楽の作品に馬の毛を燃やしているところの写真です。

去年は自分の毛を燃やしてみたり、一緒に楽焼をした友達の毛も燃やしてみたりしましたが、やはり馬の毛が一番うまくいきます(笑)


楽焼、その後

先日にも書きました工房でのお祭りマドフェストで行った楽焼きのその後です。作品の入った鉄の樽の蓋を開けます。

もう一つも開けます。

これからこのマスクをキレイに洗って磨きます。すると白さが増して、貫入もハッキリと見えてきます。キレイに洗ったマスクの写真はまた後日載せようと思います。

そしてこちらは同じくマドフェストの日に窯出しをした、コーン10還元焼成の器です。

内側は透明釉、外側には天目の上に薄くルチールを載せました。ルチールはかなり水で薄めて使いましたが、しっかりと効果が出ました。

これらの器は工房をあげて取り組んでいる「エンプティーボウルズ」というプロジェクトのために作りました。これらを販売して得た収益を寄付し、地域社会のために役立てます。

そしてまた楽焼に話題が戻りますが、先日書きました馬の毛を燃やしている様子がユーチューブにあったのでここにリンクを貼ります。1分11秒あたりから始まります。わたしが行なっている様子ではありませんが、参照までに。